嫌われ松子の一生

いやぁ、面白いかどうかはともかく、とにかく濃厚でおなかいっぱいな映画だったなぁ。上映時間自体も2時間20分くらいで長めの映画なんだけども、特に序盤が長く感じた。後半はそうでもなかったかなぁ。

とりあえずこの映画は中谷美紀の熱演を通り越した怪演に尽きると思うわけですよ。序盤は長く感じるほどあまり面白いと思っていなかったのですが、その中でも中谷美紀の変顔だけでも見る意義はあるかなぁなんて思いながらみていたのですが、後半にかけての演技はとりわけすごかった。いや、すごいを通り越して引いた。かなり引いた。今は仲間由紀恵に譲ってしまった感もあるけども、美人女優といったらこの人の代名詞だったという印象を私は持っているわけなんですが、その美人女優であるところの彼女が、こんな演技をするだなんて。後半なんて中谷美紀である必要すらないもんなぁ。

そりゃ、監督と不仲になるというもんですよ。あそこまでやらされているんだもん。中谷美紀が進んでやっているようには見えなかったし。まぁ、事前に流れた不仲情報ってのは、案外いい宣伝になってしまっていたのだなぁ、と映画をみてつくづく思いました。

ストーリー的には頭も男運もなにもかも悪いダメ人間の松子がダメ男に引っかかっては転落していくざまを描き続けるだけの映画なのですが、次から次へとダメ男が出てくる中でも、中谷美紀とキスシーンがあった挙句、乳首までいじられている劇団ひとりは勝ち組を通り越して、下克上したと思った。天下を取った。

あと、この映画はBGMが非常によかった。一部ミュージカル調になっていることもあり、全編唄にあふれているんだけども、とりわけソープのテーマ（仮）はよかったなぁ。これ、主題歌なのかな。

キャストの無駄な豪華さとか監督のエキセントリックなCG演出とかまぁいろいろ語りたいところもあるのですが、どれだけ人にお奨めできるかといったらまた微妙だったり。そういうところも含めておなかいっぱいな映画です。映画見たなーって気持ちにはなれる。