さまよう刃 / 東野圭吾

さまよう刃

東野圭吾の新作。2段組であの分厚さなのにあっさり読めたなぁ。いつもながら東野圭吾の読みやすさってのは驚異的だと思う。内容も面白かったけど、最近はどれもテーマが重いからなぁ。

未成年に娘をレイプされ殺された男。このまま、犯人が逮捕されても少年法により重い罰刑は考えづらい。そこで復讐のため、犯人の殺害を決意。謎の密告者の協力もあり、犯人の一人を殺し、残りの一人を追うが・・・

うん、まぁ難しい問題だよなぁ。外面というか表向きな事いっちゃえば、復讐をしたい気持ちはわかるけども殺人はいけないよだし、本音を言っちゃえばひどい犯罪を犯したクズは死ねとも思うし（極論だけど）、まぁそこらへんの葛藤はやっぱりあるよね。

読んでいて、やっぱり長峰（復讐者）を応援していた自分がいるわけで、やっぱり本音としては復讐をしてほしいと思っていたんだろうな。まぁ、あくまでも虚構の世界だからそう思ったのかもしれないけども、でも現実世界でも、その狙われている男がよほど近しい人間じゃない限りは殺されてしまえと思うんじゃないかなぁ。

まぁ、あと少年法の都合で、思い罪を犯しても直ぐに釈放されてしまう。釈放された場合、密告者へ復讐に来るかもしれないので監視が必要とか、最近の誘拐殺人事件で話題になっているミーガン法とかについても考えさせられる内容ではありましたねぇ。

あと、最後の一展開はかすかに残ったミステリっぽさって感じなのかな。上手い構成だと思いました。