止まれない12人/G2プロデュース

はい、今年は11月からなぜだかよくわかりませんが観劇強化月間になっていまして毎週のように芝居を観てきました。そしてその集大成というか大トリがこれでございます。G2プロデュースの止まれない12人です。初演が98年の12月だということなのでちょうど5年前ですか。結構前だなぁ。まぁ、初演も観に行っているわけでして、新鮮味はそれほどないのですがまぁ安定して楽しめることは確定だということで、まぁ今年の締めを飾るにはふさわしいかなという感じですね。はい。

土日のチケットが取れなかったので平日のチケットを抑えて会社を休んで観に行ったわけなのですが、チケットが届いてビックリ。1列目ですよ。最前列。わーい。そんな席で芝居見るの久しぶりだなぁ。1列目ってことになると昔、紀伊国屋サザンシアターで見た東京ヴォードビルショーの「アパッチ砦の攻防」(三谷幸喜脚本)以来かも。わーい。でも最前列が一番観やすいわけじゃないってのは映画館でもそうですからね。まぁ、一抹の不安も残しつつ。

で、劇場へ行ってみてビックリ。劇場のど真ん中に列車を模した舞台があって、それを左右から観客席で囲むようなスタイル。うわっ、すげぇ!と思ってみたものの冷静に考えてみれば初演もそうだったよな。すっかり忘れてましたよ。なので最前列は二つあるわけですね1列目とA列目。どっちも一番前です。でも、席についてみたらやっぱり懸念どおりでした。運転席が全く見えませんでした。まぁ、そこで芝居を繰り広げることは殆ど無いのであんまり影響はないんですがね、ちょっと残念。

で、あらすじ。時速500キロで日本を横断する超特急「雷神号」が完成し、そのプレミアム試乗会。800倍を越える競争率を潜り抜けた11人の乗客。ところがテロリストによって管制室を乗っ取られ電車は制御不能の状態に。東京駅で止まるつもりが何故か1号車だけ止まらずにノンストップで青森へ向かうはめに。しかも車内にはキチガイやらマッドサイエンティストやら死の運び屋やら酔っ払いやらで大騒ぎ。果たして無事に雷神号は止まることが出来るのか?死の運び屋から生きて逃げ延びることができるのか?というお話。

まぁ、舞台装置を見て驚いたくらいですからね、あんまりストーリーも覚えてなかったわけですよ。三上市朗が列車以上に暴走してたけど、あの役は誰がやるのかなぁくらいしか記憶もなかったので結構新鮮に楽しめました。最後はちょっとご都合主義連発になるけどまぁそれはそれで楽しいからいいか。やっぱり後藤ひろひとの脚本はすごいなと思いますよ。小ネタに走りつつ、最後はうまくまとめるし。一般受けもしやすいと思うなぁ。

まぁ、後藤脚本だとこれより面白いのもいっぱいありますからね。「人間風車」とか「ダブリンの鐘つきカビ人間」とか遊気舎時代の脚本もどんどん再演しているから新作と同時に再演もいろいろやって欲しいところです。個人的には「じゃばら」きぼんぬ。

しかし、この12人の役者達はホントに濃い面子を集めたなぁ。そんな中でも池鉄の濃さは抜きん出ているけど。あの気持ち悪さは天性のものだな。すごい。これ初演では久保田浩だったのかぁ。なんか久保田浩がやるにはもったいない役の気もするなぁ。羽曳野の伊藤を封印してまでやらせる役という気はちょっとしないな。と、初演について突っ込んでどうするんだ、オレ。そういや、最近羽曳野の伊藤を見てないなぁ。「天才脚本家」でやったのかぁ。観に行けばよかった。無念。

三上市朗が初演でやっていたキリヤマ隊長は予想通りそして期待通り久ヶ沢さんが。まぁ、いつもとやっていることたいして変わらないといえば変わらないけど。美味しい役だよなぁ。演劇において一番美味しいのはキチガイの役だと思いますよ。すべてもってっちゃうもん。次は何を言うだろう、何をやるんだろうという期待感を常に持たせますからね。こういう芝居のアクセントとしても非常にいい味出すし。三上市朗が堂々としているのに対して久ヶ沢さんの場合は目の焦点があっていないホントに危ない人っぽいのがまたいいのかと。これだけでも観に行った価値はあったなとサモアリ好きとしては思うわけです。

あと、小須田康人がやっていた役も途中まで初演は誰がやっていたのか全然覚えてなかったけど、急にドイツ語でわめきだしたところで、これって川下大洋じゃんってすぐ分かった。マッドサイエンティストといったら川下大洋。だから当て書きであるそれに比べちゃうとなぁとちょっと思ったりもしたけどもまぁ、こんなもんですかね。

山内圭哉はまさにはまり役。初演は山西惇かぁ。そっちもはまってるなぁ。強面の関西人ならみんな出来る役なのか?映像化するなら山本太郎に違いない。

植本潤の子供役は無理な裏声が最初気になったけど後半では慣れてきたのかそうでもなかったなぁ。まぁ、ずっと運転席にいて私の席からでは見えなかったのと、セリフも結構少なかったからだな。

楠見薫は初演も出てたけど、今回は違う役で。おかげでレポーターの女の子がかわいくなりました。ハァハァ。まぁ楠見薫敵にもこっちの方があっているんじゃないかと思ってみたり。初演は牧野エミかな。それはそれでわかる感じですね。

初演に升毅の名前があるから医師の役かなと思いきや、今回岡田義徳が演じた浅倉役だとは。そいつは意外(観ておいていうのもなんだが)。岡田義徳は今回のキャストでは唯一の“芸能人”って感じですけど、まぁ別に彼がやらなくてもいい役である気も少し。

まぁ、役者に対してはこんな印象ですかね。まぁ、豪華キャストなんで見ているだけでも楽しいのですが。

今後も後藤ひろひと脚本は注目だなぁ。ここ数本見逃していたのが悔やまれる。とりあえず金もっていたんで勢いで買ってしまった「12人の入りたい奴ら」のDVDでも見るか。

あ、ちなみに「止まれない12人」というのは12人シリーズの3作目になります。元々は関西の人気劇団からメンバーを集めてプロデュース公演をしようという企画でして第一弾が「12人のおかしな関西人」。で、その後「12人の入りたい奴ら」「止まれない12人」と続いたわけなのです。なぜ12人かというと、アメリカの映画に「12人の怒れる男達」というのがあり、また、それをモチーフとした三谷幸喜の「12人の優しい日本人」という芝居(映画もあるよ)がありまして、そこからネタを拝借したということですね。「おかしな関西人」は見てないんだよなぁ。DVDもないみたいだし。どうにかならんもんか。

はい。長文になってしまいましたが、そんな感じで来年もいい芝居にめぐり合えるといいなぁとおもいつつさようなら。