「アパッチ砦の攻防」と三谷幸喜の遅筆の話

やほーい、チケット取れたぜー。サンシャイン劇場とはまた広いところでやるなぁ。席はあまり良くないけどしょうがないな。今回は伊東四郎が出ないとか、細川ふみえだとか中澤裕子だとか不安要素も結構あるけども、とりあえず楽しみだ。

しかし、「アパッチ砦の攻防」も初演から数えるともう10年経つのか。先日のカラフルメリィも9年前だし、芝居見はじめた頃の作品を今また再演してくれるのは嬉しい限り。まぁ、そんなわけで当時の思い出とか。

アパッチ砦の攻防」の初演は96年。この頃の三谷幸喜といえば、95年に舞台「君となら」、TV「王様のレストラン」といった代表作ともいえる作品を立て続けに発表して最も勢いに乗っていた時期。その勢いをそのまま受けて、TVで「古畑任三郎」「竜馬におまかせ」「3番テーブルの客」が放送、舞台では秋口に「巌流島」「笑の大学」、そしてこの「アパッチ砦の攻防」と新作を3本(「笑の大学」はラジオドラマとして存在していたので、正確には新作ではないが)上演と最も忙しかった時期でもありました。

最近はあまり騒がれることがなくなりましたが、当時の三谷幸喜といったら遅筆で有名で、「竜馬におまかせ」の次回予告で、出演者みんなで「まだ出来てませーん」と声を揃えて言っていたり、「巌流島」に佐々木小次郎役で出演する予定だった陣内孝則が、脚本の遅れを理由に降板して、初日がずれて何公演が中止になったり(ちなみにそのチケット持ってたなぁ)、いろいろあった年でした。

その後、三谷幸喜陣内孝則って和解(作品に出演)したのかなぁ?あまり記憶に無いけど。「笑うカンガルー」って、それよりも前の話だよね?

まぁ、そんなわけで「巌流島」の脚本の遅れをもろに受けた「アパッチ砦」。「笑の大学」は下敷きがあったおかげで無事に公演を行うことが出来ましたが、完全新作であった「アパッチ砦」はなかなかそうもいきません。とにかく脚本が遅れまくったそうです。

当時、パソ通でいろいろとやっていたのですが、ニフティの三谷HP(ホームパーティ)だったと思いますが、そこに出演者の身内の方(出演者の妹さんとかだっけかな)がいらっしゃって、その人から脚本が全然出来ていないことを逐次聞いていたので、とにかく心配でした。公演3日前だというのに脚本が完成していないとか言っていたしな。幕は上がるのか?って感じですよ。

まぁ、そんなこんなで日は過ぎて公演初日。ってのはあまり意識していなかったのですが、大学からの帰りに山手線に乗っていたら、新宿駅から乗ってきた人が、この「アパッチ砦の攻防」のパンフというか、チラシみたいなものをもっていたのを発見したのでした。それで初めて、その日、初日だったことを思い出して、無事に幕が開いたのを知ったのでした。

ふと勢いでその人に「ちゃんと脚本できたんですね」「どうでしたか?」とか聞きそうになりましたが、済んでのところで踏みとどまりました。まるで怪しい人みたいだからな。

まぁ、そんなわけでその3日後に私も芝居を観に行ったのですが、芝居自体は嘘と勘違いを主体としたオーソドックスな三谷幸喜の芝居といった感じで普通に楽しめました。その後、「アパッチ砦の攻防」は加筆されたりして再演を98年に行い、今回の再再演に至ったわけですね。東京ボードヴィルショーの三谷作品ではこれが一番好き。

参考(過去の演劇レビューといったらまねきねこさん)
http://homepage1.nifty.com/mneko/play/TA/19961130S.htm
http://homepage1.nifty.com/mneko/play/TA/19981216S.htm